首都圏では10年前の東日本大震災以来となる震度5強の地震が7日夜にあった。交通が一時まひして帰宅困難者が多数発生、水道管が破損するなどライフラインの弱さも露呈した。エレベーターの閉じ込めは28件あった。多くの課題が見つかっており、備えを点検して見直してほしい。

 約515万人の帰宅困難者が発生した東日本大震災を教訓に、都心のターミナル駅近くに一時滞在施設がつくられている。今回、実際に使われたのは6カ所だった。地下鉄などの運転再開が早かったこともあるが、なぜスムーズに開設できなかったか検証は必要だ。

 首都直下地震では約517万人の帰宅困難者の発生が予想される。南海トラフ巨大地震などが起きれば多くの大都市で同じことが起きる。発災後は「むやみに移動を開始しない」が鉄則だ。職場にいたとすれば、そこで当面は過ごすことになる。3日分以上の水や食料の備蓄があるかチェックしておきたい。

 一定以上の揺れがあれば鉄道は運行をやめ、職員が線路の安全を目視点検してから再開するのが基準だ。首都圏ではJR東日本や地下鉄、私鉄各社がそうした対応をしたが、JRなどの一部路線が翌朝以降の再開となった。

 点検すべき線路の距離が長いことが要因とされる。若者が少ない地域を中心に十分な要員の確保に苦労しているとも聞く。緊急時の点検を素早く終えるための技術開発が不可欠である。

 いつ運転再開できるか分からず、利用者が駅で長時間待つ事態が今回も繰り返された。点検が何時までかかり問題がなければいつから動きだすかなど、もっと具体的な情報を利用者に提供するべきではないか。

 新型コロナウイルス禍もあって、首都圏ではテレワークが普及してきた。翌朝の運休が事前に分かれば自宅勤務や時差出勤もでき、駅での混乱を避けることができる。情報発信の在り方を工夫するよう提案する。

 水道管など多くのインフラは高度成長期を中心に整備された。和歌山市で崩落した紀の川に架かる上水道用の送水管は46年前の設置だ。水道、電気、ガスは生活に必須であり、老朽化に対応した計画的な更新、耐震改修を急ぐべきだ。

 エレベーターは揺れを感知して止まり、技術者が安全を確認し再開する。もし震度7の地震となると、停電も起きて停止、閉じ込めの数はかなり多くなる。超高層ビルなどでは長い間止まったままになる可能性もある。

 全国の都市でタワーマンションが建てられている。中心街にあって便利な半面、長期間の停電となれば、高層階の居住者は階段を使うしかなく飲料水、食料の確保に苦労する。自治体は災害に強いまちづくりの視点からタワマン整備の在り方、人の住まい方を真剣に考えるべき時期にある。

 今年に入って震度5強以上の地震は5回起きた。東北での4回に比べ、今回の被害が目立つのは首都圏が過密であることが一つの要因だ。震度6強の揺れが中心となる首都直下地震は今後30年以内に70%の確率で起きると予想されている。

 抜本策として東京一極集中の是正があることを思い出してほしい。情報通信技術(ICT)の発展によって東京から企業が脱出できる環境は整ってきた。集中の是正も急務である。