橋本明社長(右端)から板倉さんの奮闘ぶりを聞く妻の千夏さん(左から3人目)ら家族=兵庫県姫路市、ヴィクトリーナ・ウインク体育館
橋本明社長(右端)から板倉さんの奮闘ぶりを聞く妻の千夏さん(左から3人目)ら家族=兵庫県姫路市、ヴィクトリーナ・ウインク体育館

 兵庫県姫路市を拠点とするバレーボールV1リーグのヴィクトリーナ姫路の草創期を支え、今夏に53歳で亡くなった元山陰合同銀行姫路支店長の板倉渉さんへの哀悼と感謝の意を表した記念試合が30日、姫路市内であった。自宅のある松江市から板倉さんの家族も駆け付け、関係者が生前の思い出を振り返り故人をしのんだ。 (新藤正春)

 がんを患い、闘病の末に7月に亡くなった板倉さんは若い頃から野球一筋で、名刺に「常に全力投球」と刻むほどの熱血漢だった。

 姫路支店長だった2016年夏、市内で元日本代表セッターの竹下佳江氏を監督にしたチーム創設の動きがあると知ると、すぐさま球団運営会社の橋本明社長(48)に連絡。取引先が集まる場でチームを紹介する機会を作り、仕事の合間を縫ってスポンサー探しに奔走した。

 橋本社長は、初期のスポンサー約30社のほとんどが板倉さんの紹介だったと語り、「情熱の塊のような人。自分のチームであるかのように一緒に回ってくれた」と懐かしむ。

 ある時「なぜこんなに熱心に助けてくれるのか」と尋ねた。「地域を元気にする取り組みだから、何とか頑張ってほしい」と返した板倉さんの言葉が今でも忘れられないという。

 30日はV1で3シーズン目となる今季のホーム開幕戦。球団の発案で「山陰合同銀行スペシャルマッチ」と題した冠試合となり、約1100人が集まった会場で「チーム創設に当たり、大変お世話になった板倉渉さんへ感謝を込めて」とアナウンスが流れた。

 息子と娘の3人と一緒に観戦した板倉さんの妻千夏さん(52)は「皆さんにしのんでいただけるのは本当にありがたいこと。主人もきっと喜んでいると思う」と感謝した。