【ジュネーブ共同=出口朋弘】米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルス感染症による死者が1日、世界全体で500万人を超えた。1週間当たりの死者数は約2カ月間にわたって減少が続いてきたが、世界保健機関(WHO)の10月24日付集計では増加に転じ、5万人近くに上っている。感染者数も同様の傾向にあり、WHOは警戒を呼び掛けている。
昨年も10月ごろから死者が急増し、今年1月には1週間当たり10万人に迫る過去最多水準となった。
世界の累計死者は昨年9月下旬に初めて100万人を超えた。その後、100万人増にかかった日数は108日、92日、82日とペースが加速する一途だったが、今回は116日と鈍化。ワクチンの普及が進み、重症化が抑えられるようになってきたことが大きい。
一方、ワクチン接種が進んでいる欧州では、規制措置が大幅に緩和されたこともあり、再び感染者の増加が目立ってきている。WHOの10月24日付集計ではロシアなどを含む欧州地域事務局管内が世界全体の1週間当たり感染者の57%を占め、現在最も感染が拡大している地域となっている。
感染拡大を放置するとワクチンの効果が弱まる変異株が出現する可能性も高まるため、WHOは予防策継続の必要性を強調。ワクチンだけに頼らず、手指消毒の徹底や3密(密閉、密集、密接)状態の回避、混み合う場所でのマスク着用などを訴えている。
また特にアフリカの発展途上国でワクチン接種が大きく遅れていることから、公平供給に向けた取り組み強化を要求。先進国を中心に進む追加接種については、感染を防ぐ抗体が十分にできなかった人や、免疫不全の人に限り推奨している。