JR西日本は29日、2021年春闘で、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)の実施を見送ると各労働組合に回答した。ベア見送りは13年以来8年ぶりとなる。新型コロナウイルスの感染拡大で旅客が減少し、業績が悪化していることを踏まえた。定期昇給は実施する。

 ボーナスに相当する夏季手当は前年より1・39カ月分少ない1・30カ月分とした。一方、特別一時金を正社員に3万円、契約社員などに1万円それぞれ支払う。冬季手当は先行きの不透明さを理由に回答を控えた。

 新型コロナが経営を直撃し、JR西日本の21年3月期の連結純損益は発足以来最大となる2400億円の赤字となる見通しだ。昨年の冬季手当の支給額を減らしたり一時帰休を2度実施したりするなど経費削減を進めている。

 JR西日本の約3万人が加入する最大労組の西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)は、ベア要求を見送ることなどを盛り込んだ要求書を2月に会社側へ提出していた。