特選を受賞した「動魂」
特選を受賞した「動魂」
アトリエで制作に励む春日裕次さん=出雲市所原町
アトリエで制作に励む春日裕次さん=出雲市所原町
特選を受賞した「動魂」
アトリエで制作に励む春日裕次さん=出雲市所原町

 10月下旬に東京都内で開幕した国内最大規模の公募展「第8回日展」の洋画部門で、出雲市中野町の元高校美術教諭、春日裕次さん(61)が2度目の特選を受賞した。初の特選に輝いた5年前から「若者とバイク」を題材に創作を続けてきた。高校時代の恩師と先輩が過去に成し遂げた「2度の特選」の仲間入りを喜ぶ。 (平井優香)

 「ガソリンを補給しエンジンを動かすところが人間と似ている。バイクは私にとって『生き物』」と、若い頃からよく描いた。23回目の出品となった5年前、同僚の若手男性教諭にモデルを頼みバイクとともに描いた作品が初めて特選を受賞。「彼は中距離走が得意でしなやかな筋力を持っている。バイクと彼のイメージがリンクした」と以来、毎年モデルを頼んでいる。

 特選は1604点の応募があった中から10点選ばれた。受賞作「動魂」(縦1・6メートル、横1・3メートル)は男性と日本製の古いバイクを描いた。バイクは市内のバイク店で実物を取材。細部のパーツやエンジン音、オイルのにおいを確かめ、イメージを膨らませた。審査員からは「効果的な色面の配置により、空間感や画面の動きを獲得している」と高く評価された。

 春日さんの周辺では出雲高在学時の顧問、故・有馬侃さんと高校、大学の先輩の北本雅己さんも洋画部門での特選を2度受賞した。

 今後は題材を限定せずに幅広い作品への挑戦意欲を示すとともに若手の育成にも力を入れるつもりだ。週1回、初任教諭の指導に浜田高校を訪問し、週末は自宅で造形教室を開いており「第二の人生をどう過ごすか、範囲を狭めずにいろいろなことに挑戦したい」と意気込んだ。