ブラジルの国旗と秋の島根県大会の優勝旗を手にする清水タデウ健次選手(左)と興梠フェリペケンゾウ選手=松江市上乃木10丁目、市営野球場(立正大淞南高校提供)
ブラジルの国旗と秋の島根県大会の優勝旗を手にする清水タデウ健次選手(左)と興梠フェリペケンゾウ選手=松江市上乃木10丁目、市営野球場(立正大淞南高校提供)

 ブラジルから立正大淞南高校(松江市大庭町)に野球留学した日系の球児2人が言葉や文化の違いを越えて野球に励み、チームメートとともに甲子園行きを目指す。10月の秋季中国地区高校野球大会ではベスト8入りに貢献して自信を深め、さらなる精進を誓う。(原暁)

 代打の切り札の清水タデウ健次選手(18)と、内野の要の興梠(こうろぎ)フェリペケンゾウ選手(16)の2年生2人。ともにブラジルでは「ヤクルトアカデミー」でプレーし、清水選手が昨年3月、興梠選手が今年4月に立正大淞南に入った。

 2人によると、ブラジルでは、中学までは野球を楽しむ環境が整っているが、高校以上は特に能力が高い選手など限られた人しか競技を続けられず、野球を諦める人も少なくない。

 清水選手は、野球を通じた青少年教育に携わる日本人男性の仲介もあり、日本の高校野球のチーム数や部員の多さに驚きながらも来日を決断。興梠選手も、新型コロナウイルスの影響で野球どころか学校に行くことさえできなくなり、以前から憧れのあった日本の野球を志し、後を追った。

 2人とも簡単な日本語は分かるが、監督やコーチの指示を瞬時に理解できないことが多々ある。協調性を重んじる日本のプレースタイルにも当初はなじめなかった。支えになったのはチームメートの存在。監督やコーチから部員全員に指示が飛ぶと、その後、仲間が2人に駆け寄り、指示をかみ砕いて説明する。興梠選手は「みんな優しくて好き」と感謝する。

 周囲に支えられ、責任感の強い清水選手はグラウンドでも私生活でもチームの中心的存在に、明るく強気な性格の興梠選手は試合で劣勢な時でも盛り上げるムードメーカー的存在となった。他の部員にとって刺激になっており、太田充監督は「良い効果しかない」と話す。

 秋の中国大会では清水選手が代打で適時打を放ち、興梠選手は好守でもり立て、甲子園行きの夢を実現したい気持ちが強くなった。清水選手は「どんな形であれチームの勝利に貢献したい」、興梠選手は「もっともっと上手になりたい」と話し、日本で一花咲かせるつもりだ。