<短歌>宮里 勝子選

二十日ぶりに車の運転こわごわと普段の暮しにもどる幸せ     安 来 日原 昌子

 【評】何かの事情で日常を離れていたのである。回復時のみずからの境地がみずみずしい。普段の暮らしが普通にできる幸福感はコロナ禍の中で大勢の人が感じたことである。二十日ぶりの数詞は他の言葉に変えることはできるが、作者にとっては忘れられない日数だったのである。

十八で逝きしは哀れと抱きやればかそけき音す弟(おと)の骨つぼ     松 江 高木  和

  【評】十八歳で亡くなられた事情は分からないが...