JR山陰線益田ー浜田駅間で列車とクマの接触事故が相次ぎ、JR西日本米子支社が対応に苦慮している。同区間では4月以降、8件の接触事故があり、うち3件で部分運休や大幅な遅れが出た。発生箇所では線路の徒歩巡回点検を中止するなどの影響が出始めており、米子支社は近く島根県と対策を協議する。 (山根行雄)

 「保線社員の安全を守るための対応。冬眠を待つしかない」。クマ出没が相次ぐ岡見(浜田市三隅町)ー鎌手駅(益田市西平原町)間で、徒歩巡回点検を見合わせている浜田鉄道部。三島稔部長は「打つ手なしの状況」と吐露する。

 米子支社が危機感を強めるのは10月23日、同区間の線路付近で地元猟友会男性と県職員女性の2人がツキノワグマに襲われ、けがをした事故。22日に普通列車がクマと衝突したため、2人は安全確認中だった。

 県西部で列車とクマの接触事故は2020年度には1件もなかったのが、今春以降に急増。今月18日に成獣と衝突した特急は車両の一部が破損し、最寄りの駅で運転を打ち切った。

 米子支社では、環境省レッドリストで絶滅の恐れのある地域個体群に含まれるツキノワグマ対策を内部検討。ただ接触事故を防ぐ決め手はなく、保線社員の安全確保や出没抑制、死骸の撤去などについて、県鳥獣対策室と協議することにした。

 保線社員にクマよけスプレーなどを配備した米子支社総務企画課の担当者は「自社対応には限界がある。関係機関の協力を得て何らかの対策を講じたい」と話した。

 

▼運行に支障が出たクマ接触 

6月23日

 益田市津田町の津田駅構内で衝突。快速など3本が部分運休

10月22日

 浜田市三隅町の岡見ー鎌手駅間で接触。一部区間終日運転見合わせ、後続の特急運転士が周辺に3頭発見

11月18日

 益田市土田町の岡見ー鎌手駅間で特急が接触し、運転打ち切り