福島県南相馬市からの感謝状を受け取った野島優子さん=松江市殿町
福島県南相馬市からの感謝状を受け取った野島優子さん=松江市殿町

 安来節の一宇川流どじょうすくい踊り師範、野島優子さん(53)=松江市東出雲町揖屋=に福島県南相馬市と岩手県釜石市から感謝状が贈られた。東日本大震災後、公演や指導を通じて交流を続け、笑顔を届けた。南相馬市では安来節愛好会ができ、今も往来が続く。 (鎌田剛)

 野島さんが被災地の人たちと交流するきっかけになったのは、教員としてインド日本人学校で教壇に立った経験。震災から2年後の2013年、インド時代の同僚から「僕の出身地(岩手県)に来て、安来節で励ましてほしい」と公演を依頼された。

 野島さんは5月に岩手県の盛岡、釜石両市と大槌町でどじょうすくい踊りを披露。釜石市平田(へいた)地区で公演した際には、高齢の女性から「2年ぶりに笑った。勇気を頂いた」と声を掛けられた。狭い仮設住宅で暮らし、近所の迷惑になるため大声で笑うことをためらっていたという。

 衝撃を受けた野島さんは折り紙で花を折って被災地に届ける活動を展開。合計2万8228枚を届けた。

 また、新聞報道を見て公演を依頼した南相馬の住民と意気投合し「南相馬正調安来節愛好会」を結成。14年から10人のメンバーが月2回のペースで自主練習し、野島さんは同市で計9回の公演した。「感謝状をもらったのは、支援してくれた方々のおかげだと思う」と喜んだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で被災地での活動は昨年から中断したが、南相馬のメンバーと連絡を取り合い、来年4月には、同市が企画する交流会で公演の再開を計画している。