国立病院機構の函館病院で、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種を受ける看護師(左)=1日、北海道函館市
国立病院機構の函館病院で、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種を受ける看護師(左)=1日、北海道函館市
新型コロナワクチン追加接種を巡る動き
新型コロナワクチン追加接種を巡る動き
国立病院機構の函館病院で、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種を受ける看護師(左)=1日、北海道函館市 新型コロナワクチン追加接種を巡る動き

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」への危機感が日本でも急拡大している。感染状況は下火が続くが医療現場や自治体の雰囲気は一変。感染再拡大を警戒し、始まったばかりのワクチン追加接種の前倒しを求める意見が相次ぐ。こうした声に押されるように、政府は前倒しを認める方針に転換した。

 ▽必要性指摘

 「最悪の場合『オミクロン株による第6波』も想定しなければならない。体制が整った自治体から(ワクチンの)前倒し接種を考える必要が出てきた」。日本医師会の中川俊男会長は1日の記者会見で、前日に日本で初のオミクロン株感染者が確認されたことに強い危機感を示した。

 政府はこれまで追加接種の対象を、2回完了から原則8カ月経過した人としてきた。今月1日、まずは医療従事者を対象に始まり、来年1月以降に高齢者や一般にも順次広げる想定だった。

 だが高まる懸念に応える形で対応を再検討。木原誠二官房副長官は5日、岸田文雄首相の意向も踏まえ、自治体の能力を考慮しながら「可能なところは前倒ししていただく」と明言した。木原氏は米モデルナ製を前提とする考えも示した。

 モデルナ製の追加接種は近く国が承認する見通し。政府関係者によると、国内では米ファイザー製に比べモデルナ製の在庫がやや多いとみられ、今後の供給量も見据え、重症化リスクの高い高齢者などの接種を8カ月間隔より早めることが可能との判断に至った。ただ若者まで含め、希望者全員が前倒しできるほど潤沢ではないのが実情だ。

 ▽例外扱い

 厚生労働省が追加接種に向けて議論を始めたのは、国民の過半数が2回を終えた9月だった。接種から時間が経過するとともに、感染や発症を予防する効果が下がることが分かったためだ。世界でオミクロン株の脅威は影も形もなかった。

 その後厚労省は、18歳以上の希望者を無料で打てるようにし、高齢者など重症化リスクが高い人や、医師ら職業上の感染リスクが高い人には特に推奨することを決めた。

 接種時期は2回目完了から「8カ月以降」とした。先行する欧米諸国を参考に、自治体の準備期間も考慮した結果だ。クラスター(感染者集団)が発生した病院や施設の利用者などは、6カ月に短縮することも認めたが、あくまで「例外」扱いだった。

 ▽意義強調

 ところがオミクロン株への感染報告が11月下旬以降、海外で相次ぎ、日本でも同30日に初確認されたことで、状況は大きく変わった。

 日本医師会のほか、全国知事会長の平井伸治鳥取県知事からも「6カ月」の例外的措置を弾力的に緩和するよう求める意見が上がった。

 一方、オミクロン株はワクチンの効果が下がるとの指摘もあり、国立感染症研究所は「ワクチンへの感受性、免疫力をどの程度落とすのかといったリスク評価をしっかりやる」(脇田隆字所長)と特徴の分析を急ぐ。感染症の専門家は「全く効かないとは考えにくい」と、3回目接種の意義を強調した。