新たに開発した人工骨ネジ=出雲市塩冶町、島根大医学部
新たに開発した人工骨ネジ=出雲市塩冶町、島根大医学部

 島根大医学部(出雲市塩冶町)と島根県産業技術センター(松江市北陵町)、人工骨メーカーの帝人メディカルテクノロジー(大阪市)が、新型の骨折固定用人工骨ネジを開発した。従来品より強度と固定力を高め、術中や術後に折れて壊れる可能性を低くした。医学部付属病院での治療に活用を始めており、来年からは島根県内の主要医療機関にも供給する。

 島根大医学部整形外科学講座では患者自らの骨をネジ状に加工し、骨折部を固定する治療法を年1~2件の手術に応用してきた。ただ、患者によって骨の強度が異なり、取り出せる量が限られる課題があった。

 帝人メディカルテクノロジーの人工骨ネジはプラスチックとカルシウム成分を組み合わせており、数年掛けて体内に吸収されて、なくなる。金属製と比べて強度が劣り、ネジ頭部に高さがあるため周辺組織を痛める可能性があった。

 それぞれの課題を解決しようと、2017年に3者が共同開発に着手した。島根県産業技術センターでネジ山の高さや形状などを変えた複数のサンプルを用意し、強度や固定力を検証。ネジ頭部を低くした太さ4・5センチ、全長3~7センチの計14本を開発した。新たな人工骨ネジは金属のように取り出す手術が必要なく、これまで30分は掛かった患者の骨をネジ加工するための時間が短縮できるようになった。

 今年3月に薬事承認を得て、6月以降に5件の手術に使い、経過は良好という。整形外科学講座の内尾祐司教授は「今後、金属ネジでは骨が壊れやすい骨粗しょう症患者の手術に使えるよう、さらに開発、研究を進めたい」と話した。
      (平井優香)