【ニューヨーク共同】米ニューヨーク市のデブラシオ市長(民主党)は6日、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」対策として、市内の全民間企業に対し従業員へのワクチン接種を27日から義務付けると発表した。全米初としている。新変異株阻止には「大胆な対策が必要」だとし、今回の措置を「先制攻撃」だと強調した。
バイデン政権(民主党)は11月、従業員100人以上の企業に接種を義務付ける規則を発表したが、共和党知事らが反発。連邦裁判所が差し止めを命じ、実施に至っていない。デブラシオ氏は、市当局が市民を守るため接種義務を課す権限を持つと説明。違反者に罰則を科す考えも示した。
デブラシオ氏によると、約18万4千事業所が対象で、今月15日までに細目を公表する方針。14日から、5~11歳の子どもが飲食店や娯楽施設に入る際にワクチン証明が必要となる。市はこれまで市職員への接種を義務化し、従わない場合は無給の休職扱いとなる措置を実施している。
今回の措置に企業側は反発。市接客業連盟のリジー代表は「苦境の飲食業界へのさらなる難題だ」と批判し、企業経営者で組織するNPOの幹部は米メディアに「今回の措置が合法的なのかさえはっきりしない」と疑問視する。共和党のボレリ市議は「義務化されれば提訴する」と警告した。
一連の措置が全て発効するのは今月27日だが、デブラシオ氏は今月末で任期を終える。後任のアダムズ次期市長は「就任してから検討する」(報道官)と距離を置いており、今後の成り行きを見極める姿勢だ。
地元テレビによると、ニューヨーク市を抱えるニューヨーク州のオミクロン株感染は6日までに8人確認されている。