サンフランシスコ平和条約を中心に竹島問題を解説する藤井賢二さん=松江市殿町、島根県民会館
サンフランシスコ平和条約を中心に竹島問題を解説する藤井賢二さん=松江市殿町、島根県民会館

 韓国が実力支配する竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))について考える島根県主催の第3回講座が松江市殿町の県民会館であった。県竹島問題研究顧問の藤井賢二さん(65)が、竹島が日本領と画定されたサンフランシスコ平和条約を軸に領有権確立の舞台裏を解説した。

 藤井さんは1952年に発効した平和条約の成立過程をたどり、戦後も国際的に竹島の帰属先は日本であるとの認識が共有されていたことを示した。米国務省が49年に作成した条約草案で日本が保持する島として竹島が記され、51年の米英間の協議では「朝鮮に帰属する島には竹島は含まれない」とされたという。

 条約発効に至るまでに、米国と有力な連合国の一つオーストラリアに、韓国政府が竹島を自国領とするよう求めていたことも紹介。だが、韓国の竹島についての地理情報が不明瞭で、領有権の歴史的根拠も示せず、米豪いずれも説得できなかったと明かした。

 韓国が領有権の根拠を明確に示せなかった背景には「連合国側であるために竹島がおのずと領土になるとの思惑があったのではないか」との仮説を述べた。県内外の約30人が聴講した。

      (佐貫公哉)