山陰線を走る列車(資料)
山陰線を走る列車(資料)

 JR西日本米子支社が17日、来春のダイヤ改正に合わせ、管内で運行する特急8本を含む45本を減便すると発表した。昼間時間帯(午前9時~午後3時)に走る列車を中心に減らしてコスト削減を進め、新型コロナウイルス禍などで悪化した経営環境の安定化を図る。減便数は1987年の民営化以降で最大規模となり、利用者への影響は避けられない。

 改正日は2022年3月12日。今年春と秋のダイヤ見直しに続く減便で、米子支社輸送課の久保田孝行課長は「輸送能力と利用者数との乖離(かいり)があり、利用実態を踏まえて見直した」と説明した。

 減便対象の特急は、岡山ー出雲市駅間を結ぶ「やくも」(今秋のダイヤ見直し時点で30本運行)が6本、京都ー鳥取・倉吉駅間の「スーパーはくと」(同14本運行)が2本。該当の8本は観光客利用が多い金・土・日曜と祝日の運行に振り替えるほか、利用状況に応じて走らせる。

 快速・普通列車は、328本のうち37本の運転を取りやめる。山陰線では、鳥取ー米子駅間14本(平日8、土日祝日6)▽米子ー出雲市駅間13本(平日8、土日祝日5)▽出雲市ー浜田駅間15本(平日7、土日祝日8)▽浜田ー益田駅間8本(平日4、土日祝日4)ーなど。

 米子・境港両市を結ぶ境線は、平日40本を34本に、土日祝日32本を30本に減らす。

 大幅減便に対し、沿線自治体は利用者離れ、地域の衰退が危惧されると懸念。島根、鳥取両県知事らが19日、JR西米子支社へ緊急共同要望する。

 JR西山口支社によると、山口線は益田|津和野駅間の普通列車14本のうち2本を取りやめるほか、最終列車の時刻を繰り上げる。益田発は午後8時59分から同7時20分、津和野発は午後8時39分から同7時36分と、上下とも1時間以上早くなる。

 JR西はコロナ禍の影響が長引き、22年3月期連結決算の純損益を815億~1165億円の赤字と見込んでおり、中期経営計画を見直し、減便などによるコスト削減を図っている。
      (山根行雄)