川口淳平(47)=米子市上福原3丁目=と、伝統工芸「松江藩籐(とう)細工」の出合いは2009年。後の師となる6代目・長崎誠(81)=松江市大庭町=の展示会に足を運んだのがきっかけだった。約200年間、血縁者だけに伝えられた技を受け継ぎ8代目。今年7月には国際的な工芸の公募展で初めての大賞を獲得した。師と二人三脚で歩んだこれまでと、伝統の継承者となった今を追った。
(interviewer・藤本みのり)
#(中)「一子相伝の秘技」継承
#(下)日の目を見なかった技法、国際舞台で評価
声弾ませた師匠
「取ったか」
7月の松江市内。車を運転する川口の横で、同乗する長崎の声が弾んだ。公募展「2025金沢・世界工芸コンペティション」の大賞受賞が知らされたのだ。
師弟は長崎の自宅に向かう途中だった。大賞を決める審査がある日だと知っていたが、...













