「私が革で取っ手を作るのでかばんを作ってくれませんか」。2009年、後の師となる松江藩籐(とう)細工職人・長崎誠(81)に、川口淳平(47)=米子市上福原3丁目=が頼み込んだ。松江市内であった長崎の展示会でのことだ。

#(上)200年の伝統技法に革新
#(下)日の目を見なかった技法、国際舞台で評価

3浪目に上京

 川口は広島市で育ち、物づくりの原点は高校卒業後に浪人生活をしていた1998年にさかのぼる。広島市内のジーンズショップでアルバイトをしていた。当時、ビンテージジーンズが流行。合成と天然の染料があると知った。二つの色の違いは明白で...