江戸時代に松江藩の鉄師を務めた田部家に350年以上にわたって伝わる餅つきが28日、雲南市吉田町吉田の田部家であった。木製の臼を取り囲んだ男衆が、長い棒状のきねを手に、体をぶつけ合いながら、勇ましく餅をつき上げた。
粟原たたらを創業した1646年から毎年12月28日に行う餅つきは、水を嫌うたたら製鉄にちなみ、餅を返す手水を使わないのが特徴。田部グループ各社員など約40人が集まり、田部家第25代当主・田部長右衛門さん(42)とそろいの法被姿の男衆が5升のもち米を入れた臼を囲んだ。
田部家に伝わる餅つき唄が響く中、交代で「ほいさ~」の掛け声に合わせ、きねを交互に擦り合わせてこね回した。時折、激しく体をぶつけ合い、臼の周りを勢いよく回った。計12回で6斗の餅をつきあげた。
長男智康君(12)と次男隆教君(9)も参加。田部さんは「今後も400、500年と続けていき、地域の文化として守っていきたい」と話した。
(清山遼太)