米子市在住のモモティー(本名・速水萌々音)さん(20)は、見た目では分かりにくい軽度知的障害の特徴や生きづらさを動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で発信する。当事者である自身の経験を分かりやすく語る動画は、再生数が100万回を超える反響があり、同じ悩みを抱える人の背中を押している。 (吉田真人)
「はい!皆さんこんにちは、モモティーです」。動画は笑顔で手を挙げるお決まりのあいさつから始まる。会話中、難しい言葉や曖昧な表現を使われると理解しにくいことなどを1~3分程度で説明する。
日常会話や文章の作成はできるが、計算や手先を使った作業や細かな意思疎通は苦手。小学校3年から特別支援学級に入った。
周囲にからかわれることがあり、パニック障害といった二次障害を併発。高校卒業後に就職したものの、接客への不安などから仕事を続けられず、解離性障害を発症した。
悩みを吐き出せる場所として短文投稿サイトのツイッターに自身の障害を投稿すると「詳しく教えてほしい」との声が寄せられ、資料を作って公開した。
「顔を見せて話した方が伝わる」との思いから、2021年5月にTikTokでの発信を始め、これまでに30本以上投稿。短時間で分かりやすくまとめた内容に共感が広がった。
お金を使う際の計算や、時計を読むのが難しいことを語った動画は、フジテレビの番組内の持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした動画グランプリで優勝し、一気に注目を集めた。フォロワーは1万人を超え「たくさんの人に知ってもらえ、発信して良かった」と喜ぶ。
SNS(会員制交流サイト)を始めて、当事者とその親から寄せられた相談に答えたり、福祉関係者に講演したりするようになり「支えられる側から支える側にちょっとずつなっている」と自信を付けた。
将来の夢は、同じように悩む子どもたちを支えるカウンセラーになることだ。21年夏、子どもの心のケアに当たる「チャイルドカウンセラー」の資格を取得。今は、家族関係をサポートする「家族療法カウンセラー」を目指して勉強する。
活動を通じ、見た目では分からなくても悩みながら生きている人がたくさんいることを知った。「行動に移せば誰かの役に立てるかもしれない。自信を持ってほしい」と呼び掛ける。
TikTokの動画はモモティーさんのアカウント(@m883m883)から視聴できる。