石見神楽の年賀状を40年以上作り続けている男性がいる。松江市浜乃木7丁目の石河(いしこ)重馬さん(78)で、版画や手書きで石見神楽に登場する神々を鮮やかに描く。「愛してやまない石見神楽をより多くの人に知ってもらいたい」と願い、4日から最寄りの松江上乃木郵便局(松江市上乃木9丁目)でえりすぐりの作品を展示する。
浜田市金城町波佐で生まれ育った石河さんは、生活に神楽が根付く環境で「いつの間にか大好きになっていた」と語る。1977年に神楽をテーマにした年賀状作りに初挑戦。花形演目とされる「鍾馗(しょうき)」が茅(ち)の輪を持ち、にらみを利かせる様子を彫り版画にした。すると送り先から予想以上の反響があり、作るのが楽しみになった。
新型コロナウイルス感染拡大までは年に20公演は見て回った。自身で撮影した写真を基に下絵を描き、蛍光ペンで色付けする。社中によって個性がある面の違いを楽しみながら、恵比寿(えびす)神や「八幡」に登場する第六天の悪魔王など、髪の毛の一本まで細やかに表現する。
2022年は長引くコロナ禍でウイルスを退治してもらいたいとの思いから、疫神を成敗した鍾馗を選んだ。毎年200枚を送る石河さんは「これからも大好きな神楽に親しみを持ってもらえるよう作り続けたい」と意欲を燃やす。
作品展示は松江上乃木郵便局の計らいで、厳選した18枚を並べる。31日まで。
(藤本ちあき)