東京五輪聖火リレーの中止を検討している島根県の丸山達也知事が、新たな条件でリレー開催を容認する方向であることが5日、分かった。新型コロナウイルスの感染拡大地域以外の飲食店支援は引き続き求めるものの、リレー開催の可否判断と引き換えとする方針は転換する。(原田准吏)

 丸山知事は6日、大会組織委員会幹部に面会し、ランナーを先導するスポンサー車両や関連の人員を除くことを条件に、開催容認を伝える。自民党の県選出国会議員にも説明する。

 関係者によると、方針転換の背景には、与党で新型コロナウイルスに関連した追加経済対策や補正予算を検討する動きがある。3月25日に、福島県をスタートした聖火リレーを拒絶すると、政府の態度が硬化する可能性があると判断したとみられる。

 丸山知事は2月17日、コロナで疲弊する飲食店への支援に地域格差があることや、政府や東京都の新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込められない対応を問題視し、聖火リレーの中止検討を引き合いに改善を促した。リレー開催の可否は4月中旬に判断するとしている。

 発言をきっかけに34道県の知事がまとまって経済支援の格差是正を求める動きに発展するなど、議論を先導してきた。今後は正攻法で具体策を求めていくことになるが、奏功するかどうかは見通せていない。