まつえ若武者隊の(左から)忍者月照さん、本間亀二郎隊長、堀川茶々丸さん=松江市殿町、松江城
まつえ若武者隊の(左から)忍者月照さん、本間亀二郎隊長、堀川茶々丸さん=松江市殿町、松江城

 松江城(松江市殿町)や周辺で武者や忍者になりきって観光を盛り上げる「まつえ若武者隊」が今月下旬、再結成10周年を迎える。松江開府400年祭(2007~11年)を機に行政主導で設立し、一度は解散したが、任意団体で再起して、松江観光に欠かせない存在となった。地道に活動を続けたメンバーは「武者のまち松江を全国にPRしたい」と節目に決意を新たにする。 (片山大輔)

 隊は2011年1月、官民でつくる400年祭の協議会がオーディションを実施し、山陰両県出身の10~30代の男性5人で結成。400年祭の閉幕により同年12月に解散したが、松江らしいおもてなしを残そうと翌12年1月下旬に4人で任意団体「まつえ観光創造研究所」を立ち上げ、再び動きだした。再結成当初は「浪人組」と名乗った。

 現在は本間亀二郎隊長、堀川茶々丸さん、忍者月照さんの3人で活動。土日、祝日に城周辺を歩いて記念撮影に応じ、観光客の案内や殺陣の披露、刀剣講座で人気を集める。

 県外での観光PRも任務の一つ。21年12月18、19の両日に横浜市であった年末恒例の全国イベント「お城エキスポ」でもアピールした。城下町の歴史を発信する行政の啓発行事にも協力している。

 民放の番組「27時間テレビ」で人気グループ・SMAPと共演したこともあったが、メンバーの一番の思い出は15年の松江城天守の国宝指定だ。これを機に全国から来訪者が増え「再結成を諦めていたら多くの人をもてなすことはできなかった」と振り返る。

 観光協会からの支援金やイベント出演料での活動はぎりぎりの状態ではあるものの、「この子があの時、おなかにいた子です」と再訪する観光客や、「今日もお疲れさま」と温かい言葉をかけてくれる市民など、多くの人に支えられ続けてこられた。本間隊長は「わしらは松江城の枝葉。観光客の思い出の大切な一こまとなるとともに、郷土が誇る松江城の素晴らしさを伝えたい」と笑顔を見せる。