あけましておめでとうございます。

 今年はこんなお話からー。

 私の育った滋賀県東近江市のさる山腹に天神様の社があって、その拝殿に冠句(かんく)の額が奉納されています。

冠句というのは、最初の五文字(「冠題(かんだい)」という)が与えられ、それから始まる五七五の句を作るという遊びです。この地方では、他にも冠句を奉納した神社があります。各地に愛好者がいて、グループを作っていたものと見えます。

 この額には、「切れてない」という五文字から始まる冠句が数十句載っています。その中で私の気に入りは、

 切れてないこれでは鱧(はも)の骨押さへ

という名作。

 関西では、好んで鱧を食べます。ところが、鱧は小骨が多くそのままでは食べられない。そこで骨切りということをする。細かく包丁を入れ、しかも皮は切り残す、プロでないとできない技です。

 ところが、この句の料理人はまだ...