21日にオープンしたサイゼリヤイオンモール日吉津店=鳥取県日吉津村日吉津
21日にオープンしたサイゼリヤイオンモール日吉津店=鳥取県日吉津村日吉津

 全国チェーンのイタリア料理店「サイゼリヤ」が21日、イオンモール日吉津(鳥取県日吉津村日吉津)内にオープンした。本社の広報担当者に山陰進出を決めた理由や人気メニューを聞いた。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 

 サイゼリヤ(本社・埼玉県吉川市)は2021年8月末時点で国内1089店舗、海外464店舗を展開する。22年1月時点で国内の35都道府県に出店し、島根県の他に東北北部や四国、九州南部が未進出だ。

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 ▼島根県進出にも意欲

 サイゼリヤの儀間智広報課長(50)に山陰に未進出だった理由を尋ねると「なかなかご縁がなかった」と苦笑い。

 大まかな出店基準として「ある程度まとまって出店できる所」がある。全国の未進出地域への出店は常々考えているというが、来店客の見込みや物流費、物件などさまざまな要因がクリアできないと出店できない。

サイゼリヤの店内。138席が備わる広々としたレストランだ

 店舗形態はショッピングセンターなどの商業施設、駅前のビル、戸建ての3種類。現在は各3割ずつになるという。20年前までは戸建ての店舗が一番多かったが、建物の劣化に伴い、最近は商業施設やビルに入る形態が増えてきた。

 物流費は国内に5カ所ある自社工場の位置が関係する。工場では世界中から輸入した食材を加工し、店舗に配送する。1回の配送で同時に多くの店舗を回れる方が、効率は良い。「まとまって出店できる所」との出店基準は効率的に配送し、物流費を削減できるから。国内最西端の工場は兵庫県小野市にあり、九州地方への配送も同工場が受け持つという。

 今回、イオンモール日吉津側から出店の打診があったという。儀間課長は「このエリア近辺には(来店客が見込める)米子市や松江市もあるし、複数の店舗が出せる立地。今回はイオン様から出店のお話しをいただき、ここ(日吉津)がエリアで最初の出店になった」と話した。

 「複数の店舗が出せる立地」ということは、今後、近辺に店舗を増やすのだろうか。島根県側への進出予定について儀間課長は「いつまでにというめどはないが、条件が合えばぜひ島根県にも行きたいという考えはある。もちろん鳥取県内でも店舗を増やしたい」と今後、山陰両県での多店舗展開に意欲を見せた。

 

 ▼人気メニューの数々、ワイン1杯100円!?

サイゼリヤの人気メニューの品々。200~400円が多く、とにかく安さが目立つ

 安来市出身の記者は、大学進学で県外に出て初めてサイゼリヤを知り、価格の安さに驚いた。学生時代、サイゼリヤの安さとおいしさに助けられた人も多いのではないか。

 儀間課長によると、食材を買う際、商社を挟まず、メーカーやワイナリーから直接買い付ける。このため、中間手数料がなく、費用を抑えられるという。輸入の際は同一のものを一度に大量に購入し、コンテナ単位で効率的に仕入れる。ワインの年間販売量は450万リットルで、フルボトルにして500万本だそうだ。有名な1杯100円の格安ワインといった低価格帯実現の裏には徹底したコスト管理がある。安くて人気の高い五つのメニューを紹介してもらった。

 

★ミラノ風ドリア(税込み300円)

 

 1日に約7万食売れるという、看板メニュー。上質な肉と牛乳を使って海外の自社工場で製造したミートソースとホワイトソースを使用する。特にホワイトソースは1品に500mlを使い、牛乳本来の甘みとこくが凝縮されている。メニューに出た当初から1番人気で、当時は500円程度で販売したが、創業者の「人気だからこそもっと安く、おいしくしなければ」という思いで現在の価格になったという。

 

★辛味チキン(同300円)

 

 ミラノ風ドリアに次いで人気のメニュー。手羽中をトマトペーストや香辛料で味付けし、揚げるのではなくオーブンで焼き上げるため、脂っこくなく食べやすい。商品名に辛味とあるが、辛さは全くない。開発当時は辛かったものの、辛いものが苦手な子どもに受けるようにと辛さを抜いたところ、大ヒットした。レジ横で家庭用の冷凍チキンを販売していて、支払いの時に買える。

 

 

★プロシュート(同400円)

 

 プロシュートとはブタのももの塩漬けを熟成させたもの。世界三大ハム(スペインのハモン・セラーノ、中国の金華ハム)の一つ。熟成期間は1年間と長く、スーパーなどで販売されているものより香りや味わいが格段に豊かだという。店で出るのは本場、イタリアのパルマ地区にある「パルマハム協会」の厳しい審査を経て認定されたもののみ。儀間課長は「これを400円で食べられるのはなかなかない」と強調した。

 

★柔らか青豆の温サラダ(同200円)

 

 青豆が苦手な人は子どもをはじめ多いが、そんな人でも「残さず食べられる」と人気のサラダ。儀間課長によると、一般的な青豆は粒の大きさを重視するため熟成しきったものを使う。このため、青臭さが強いという。サイゼリヤでは熟成前に収穫したものを使うため、青臭さがほとんどない。爽やかな香りの青豆に温玉とブタのバラ肉の塩漬けが組み合わされて、食が進むサラダとして人気。

 

★ハウスワイン赤、白(グラス1杯税込み100円)

 

 イタリアの契約ワイナリーで作られたワインを破格の値段で提供する。創業者の「イタリアの豊かな食文化を日本でも味わってほしい」という思いから、日本でも手軽に飲めるよう、100円に設定したという。低価格にするためワイナリーから直接買い付け、コンテナ単位で一度に大量に購入する。輸入の際は温度変化で味が変わらないよう定温コンテナを使用する。

 

 ▼あの間違い探しの秘密

 品目の豊富さや値段の安さとともにサイゼリヤで有名なのが、キッズメニューにある「間違い探し」だ。

 メニューの表と裏に描かれたイラストを見比べて間違いを10個探すのだが、子ども向けとは思えないほど難しい。たくさんいる人物の1人の口の中に舌がある、小さく描かれたロゴマークにある会社名のつづりが違うといった細かい間違いが多く、主に会員制交流サイト(SNS)上で「難し過ぎる」と騒がれた。

現在、店舗に置かれている間違い探し。ぜひ10個の間違いを全て見つけてみてほしい

 店内にあった最新の間違い探しに挑戦したが、7個見つけるのが限界だった。子ども向けの間違い探しをなぜこんなに難しくしたのだろうか。

「元々はお子さまが料理を待つ間に楽しんでもらうためのもの。10年以上前に食育の一環で、弊社のソースやオリーブオイルの作り方をまとめたイラストに遊び要素として入れたが、気付いたら大人の間でも有名になっていた」(儀間課長)。

 意外に大人よりも子どもの方が簡単に見つけるという。そういう意味では確かに子ども向けの間違い探しだが、大人としては悔しさが残る。

 間違い探しは年4回あるグランドメニューの変更に合わせて更新する。間違い部分の作成は商品部の社員が担当し、プロのデザイナーが描いた絵を基に、どの部分をどんな間違いにするかを話し合って決める。儀間課長は「楽しんでもらうためにあえて難しい部分を2、3個入れる」と笑った。間違い探しは今では料理を待つ間どころか、間違いを見つけきるまで帰れないほどの存在になった。

 

 サイゼリヤイオンモール日吉津店は138席で年中無休、営業時間は午前11時~午後10時。