大学入学共通テストの試験時間中に「世界史B」の問題を撮影した画像が、インターネットアプリを通じて外部流出した疑いが発覚し、関与を認める19歳の女子大生が香川県警に出頭した。偽計業務妨害容疑で調べていた警視庁が捜査を進める。

 画像を受け取った東大生は、共通テストとは知らずに解答を送り返しており、「カンニング」目的の流出だったようだ。

 共通テストの追試や再試験、2次試験などの個別試験を控える大事な時期である。受験生の動揺を防がねばならない。入試関係者には、試験監督などでの丁寧な対応をお願いしたい。

 受験生が力を発揮できる環境を守りながら、入試の公正さを確保する。再発防止のために警視庁には、迅速な捜査による全容解明を求めたい。

 流出があったとされるのは共通テストの初日、15日午前のことだ。世界史Bを含む「地理歴史、公民」試験のさなか、複数の東大生に問題の画像が送信された。送り主は「高校2年の女子生徒」を自称していたという。

 東大生は昨年12月中旬、家庭教師紹介サイトで送り主と知り合った。体験授業として、この時間帯に「問題を送るので試しに解いてほしい」などと依頼されており、解答を返信した。

 午後の国語の解答も頼まれたが、共通テストではないかと不審に思ったという。送り主も気付かれたと察知したのか、問題は送ってこなかった。

 送り主は共通テストの1カ月前から、解答者を確保する準備活動をしていたことになる。周到な計画性があるのか。捜査で詰めてほしい。

 さらに、ほかにも複数の大学生に同様の依頼をしていたようだ。どの範囲に働きかけたのか、1人で可能なのかなどについても裏付けを進め、確認してもらいたい。

 電子機器が使われた入試問題の流出は、今回が初めてではない。

 2011年には京都大などの入試問題が、試験中にインターネットの質問サイトに投稿され、答えも寄せられるという事件があり、19歳だった男子予備校生が偽計業務妨害容疑で逮捕された。

 家裁は少年審判で「深く反省している」として保護処分の必要はないと判断し「不処分」としたが、試験会場で隠し持った携帯電話を使って問題を打ち込み、カンニング目的で投稿した事実は認定した。

 事件は大学関係者に大きな衝撃を与え、翌年には大学入試センター試験(共通テストの前身)でも、携帯電話などの電子機器について「身につけたり、持っていたりするだけで不正行為となることがある」とする規定を追加。いったん机に出させて、電源を切ってからかばんにしまわせるようにした。

 今も同様の対応が続いているが、今回の事態を防げなかった。女子大生は「スマートフォンを上着の袖に隠して撮影した。成績が上がらず魔が差した」と説明しているという。言葉通りなら試験監督に穴があった可能性が高い。大学入試センターには、警察と連携しチェックしてもらいたい。

 共通テスト会場の東大キャンパス前で受験生らが刺された事案を受けた警備の強化、新型コロナウイルス対策、さらに今回の事件。入試関係者は神経質になるだろうが、受験生ファーストは忘れないでもらいたい。