感染予防策と経済対策を両立させる必要性を説く伊木隆司市長=米子市加茂町2丁目、市役所
感染予防策と経済対策を両立させる必要性を説く伊木隆司市長=米子市加茂町2丁目、市役所

 米子市の新型コロナウイルス対応を批判する平井伸治鳥取県知事の発言を受け、伊木隆司市長が31日、山陰中央新報社の取材に応じ「県の指導に基づいた対策を講じている」と説明した。 (田淵浩平)

 県米子保健所と連携し、感染者が確認された学校の臨時休校や学級閉鎖を即断した経緯に触れ「担当部局に確認したが、県の指導と意見の相違は一切なかった。従ってきた」と強調。「市長に対策を求めているが、なかなか聞き入れてもらえない」とする知事の発言に困惑を示した。

 一斉休校しない理由については、感染拡大に伴い政府の要請で休校した2020年3月に子どもの一時預かりの場で「3密」が生じたことや、鳥取大医学部付属病院(米子市西町)を中心に医療、福祉に従事する市民は多く、学校が医療体制を支える就労支援の側面を持つ点を指摘した。感染は家庭やスポーツといった学校外に起因する例が少なくない現状も挙げた。

 一方で、改めて経済対策の重要性を主張。飲食や観光などのサービス業が基幹をなす市の経済構造に触れ「コロナ収束が見えず、精神的なダメージを訴える、これまでにない反応が経営者にある。命にかかわる」と危機感をあらわにした。支援策を打ち出せるよう県と協議する考えを示した。

 コロナ対応を巡っては、平井知事がまん延防止等重点措置の適用申請に慎重なのに対し、伊木市長が28日、コロナの県対策本部会議で、事業者への財政支援を念頭に適用申請を視野に入れるよう求めた。平井知事は30日の中国地方知事会の会合で、感染が拡大する学校への米子市の対策が不十分だとして「地元の飲食店街の支援ばかり言ってくる。非常に難儀している」と批判した。