島根県庁
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 島根県の全市町村に適用されている新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」の期限まで残り1週間となった。1月下旬に100人を大きく超えた1日の感染者はピークを超えたかに見えるが、県が目指すまでには感染者が減っていないのが現状。ここにきて拡大傾向にある県都・松江市の対応が焦点になっており、予断を許さぬ状況が続く。 (多賀芳文、佐々木一全)

 丸山達也知事は感染状況などを見極めた上で、今週前半に21日以降の延長を要請するかどうか判断する。

 材料の一つが、県内の人口10万人当たりの直近1週間の感染者数。県は期限の20日までに50人台には抑えたい考え。しかし、11日時点では82・4人。重点措置を始める前の167・8人(1月23日)からは大幅に抑制されているが、2月に入り、80人前後の横ばいで推移する。

 また、感染者の世代別割合の変化も県の懸念材料の一つとなっている。65歳以上の高齢者の感染割合は1月10~16日の週は10%だったのに対し、1月31~2月6日の週は18%に上昇。ワクチンを接種していない子どもが通う児童福祉施設のクラスターが2月に相次ぐなど、感染者の年代層が広がっている。

 丸山知事が8日の定例会見で「もう一段減少局面にもっていきたい」と話した状況に反する傾向が松江市内で起こっているのも気掛かりの一つだ。安来市を含む松江保健所管内では10万人当たりの直近1週間の感染者数が120・6人で感染の「第6波」で最多となっている。

 このため松江市は11日から、松江保健所の職員数を平常時の1・7倍となる計106人態勢に強化。さらに重点措置期間の20日までは、可能な限り保育園などの登園を控え、家庭で保育するよう呼び掛けた。

 一方、制約を受ける経済活動の状況も考慮する必要がある。県の要請を受けて時短営業を続ける松江市朝日町のダイニングバー・山芳ばるの山田亮介社長(42)は、取引先の生鮮食品や食肉の卸業界などにも影響が大きいこと踏まえ「重点措置の延長はつらい」と言い切る。

 感染予防と経済活動のバランスをどこに求めるか難しい判断が迫られる。