短歌 西基宜選

愛らしき顔にできたる大ニキビ孫も年ごろ行く道案ず      雲 南 高橋 綟子

 【評】見慣れたはずの孫の顔に、いつからか大きなニキビ。もう子供ではないのだ。職に就くのもやがて。そう思うにつけても、実社会の荒波をうまく乗り切ってくれればよいが。老婆心がふっと顔を覗(のぞ)かすこのごろである。

窓を開け深呼吸して外を見る”幸せですか”あなたを思う    松 江 林  真紀

 【評】起きがけに窓を開いて外を見て、「幸せですか」。お気持ちは景色を越えて「あなた」に飛んで、真っ直ぐ届...