島根は今季、素晴らしい戦いを続けている。リード・トラビスやペリン・ビュフォードを中心とした昨季の強みを残しつつ、安藤誓哉、金丸晃輔、ニック・ケイを獲得したことで、リーグトップレベルの攻撃力を手に入れた。
攻撃を支えているのは、アップテンポなスタイル。速い展開のバスケをするとミスが増える傾向にあるが、今季の1試合平均のターンオーバーは9・3本と素晴らしい数字。現代バスケでは、ビッグマンも走れないとアップテンポなバスケができないので、ターンオーバーの少なさは、トラビスやケイもミスが少なくプレーできている証しだ。
3点シュートでも優位性をつくり出している。試投数は956本でリーグ2位。成功率はリーグ8位の35・1%だが、試投数が多いのでおのずと決まる本数も増える。1試合平均の成功数はリーグ2位の10・5本。一方、対戦相手には6・8本しか決められていないので、3点シュートだけで11・1点のアドバンテージをつくっていることになる。
3人の新加入選手は、それぞれの持ち味を発揮している。安藤は島根のシステムがマッチし、もともと持っている能力が引き出された。金丸は高いシュート能力に加え、コートにいるだけで他の選手が飛び込めるスペースをつくり出している。「影のMVP」とも言えるケイは、システムの理解度が高く、3点シュートの成功率も高い。
大阪戦の勝敗の鍵は、インサイドの攻防だ。大阪は今季、インサイドプレーヤーの流出が影響して、苦しい戦いを強いられている。島根が勝つには、このエリアで優位に立たなければならない。一般的なキャッチからではなく、ドリブルから3点シュートを打てる数少ない選手である大阪のディージェイ・ニュービルの動きにも注目したい。
ささき・くりす ニューヨーク出身。青山学院大卒。bjリーグの千葉ジェッツや東京サンレーヴスでプレー。歌手やモデルとしても活躍し、2017~18年シーズンからBリーグ公認アナリスト。的確な分析に定評があり、米プロバスケットボールNBAやBリーグの中継などで解説者を務める。41歳。