益田市内12の神楽社中でつくる市石見神楽神和会の選抜メンバー19人が、日本舞踊家の尾上菊之丞さん、人形浄瑠璃文楽の竹本織太夫さんらと共演する舞台「魂(みたま)神楽」を、京都市中京区の先斗町歌舞練場で27日に開く。古典芸能との共演で石見神楽の新たな可能性を見いだし、幅広い層にアピールしようと、稽古に汗を流している。
石見神楽の保存と活用に取り組む地元民間団体・Masudaカグラボを母体とする「Masudaカグラボ京都公演実行委員会」(実行委員長・神田惟佑(ゆいすけ)石見神楽保存会久城社中代表)が企画。2019年に日本遺産に認定されたストーリー「神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽」の広報活動として、大阪万博を3年後に控えた関西圏で神楽ファンを増やすべく初めて開く。
舞台は石見神楽の演目「岩戸」と「大蛇(おろち)」をモチーフに展開。天照大御神(あまてらすおおみかみ)が弟の須佐之男命(すさのおのみこと)の乱暴な振る舞いにより岩戸に引きこもるまでを尾上菊之丞さんの舞踊、竹本織太夫さんの語り、演出を手掛ける音楽家・吉井盛悟さんの演奏で表現。大蛇は神和会メンバーが勇壮に演じる。
稽古は2月に始まり、5日夜は益田市駅前町の益田駅前ビルEAGAに神和会の出演者が集まり、須佐之男命の大蛇退治の場面を通しで約2時間演じ、動きを確認した。須佐之男命を演じる澄川学さん(34)=丸茂神楽社中=は「大蛇8頭を相手に、8通りの立ち合いを披露し、関西の人たちによい舞を見せたい」と意気込んだ。
神田実行委員長(40)は「そうそうたる方々と同じ舞台を踏める喜びと誇りを胸に、石見神楽の新たな可能性を見いだしたい。石見神楽と古典芸能が織りなす新たな創造の舞台を見てほしい」と話した。
午後2時、午後6時の2回公演。全席指定で税込み6千円。申し込み、問い合わせは実行委員会事務局、電話0856(22)7120。
(中山竜一)