建て直される「御三社」。左から稲荷社、天穂日命社、荒神社=出雲市大社町杵築東、出雲大社北島国造館
建て直される「御三社」。左から稲荷社、天穂日命社、荒神社=出雲市大社町杵築東、出雲大社北島国造館

 【出雲】出雲大社北島国造(こくそう)館(出雲市大社町杵築東)に祭られている境内社「御三社(ごさんじゃ)」の造り替えが2021年度、江戸時代後期の天保年間(1830~44年)以来、約200年ぶりに行われる。ご神体を仮殿に移す仮殿遷座祭を経て、荒(こう)神社、天穂日命(あめのほひのみこと)社、稲荷(いなり)社の三社殿を現在地で新たに建造する。

 御三社は、江戸時代前期の寛文7(1667)年、出雲大社の大遷宮に伴い本殿北側にあった北島国造館が東側の現在地に移った際に合わせて遷座。大正・昭和期に屋根替えなどをした後、老朽化が進んだため、一新する。

 三つの社殿は、いずれも大社造りの木造で屋根は銅板ぶき。千木までの高さは約3メートル。中央の天穂日命社は、出雲国造家始祖神の天穂日命を祭る。向かって左が宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祭る稲荷社、右が三宝荒神を祭る荒神社で天照大御神(あまてらすおおみかみ)も合祀(ごうし)する。

 国造館に総本院を置く出雲教(教主・北島建孝(たけのり)出雲国造)の設立百四十年記念事業として行う。事業費は約4千万円。仮殿遷座祭は15日夕に、完工は2022年3月15日にそれぞれ予定。ご神体を新社殿に移す正遷座祭は同年3月30日に計画されている。

 出雲教の三成啓之総務部長は「古代から続く信仰の姿と、悠久の歴史を伝える貴重な社。社を一新し、信仰の護持に努めたい」と話している。(松本稔史)