隠岐の島町中町、西町にまたがる共同墓地・大城墓地で大規模な実態調査が始まった。人口流出や地縁、血縁の薄れで放置された墓が増え、新たに墓を建てる場所の確保や倒れそうな墓石の危険性が課題になっていた。相続関係者を調べて荒れた墓を整理し、適正に管理して墓地利用の活性化を図る。(森山郷雄)
大城墓地は西郷港近くの大城台地にあり、遅くとも江戸時代から住民の入り会いで墓が建てられてきた。通路を除いた墓地面積は1万2600平方メートル、墓の数は1500基以上ともいわれ、県内有数の自然発生墓地だという。しかし時代の流れにつれ、放置された墓が増え、墓地が荒れて利用しにくくなっている。
このため、付近5社寺の住職や信徒らに町を加えた大城墓地環境整備協議会(会長・新宮貴司出雲大社西郷分院責任役員)を組織し、調査に乗り出した。
12日に初めて行った調査では、同会メンバーが現地で地籍図を見ながら墓の管理状況を調べた。やぶに覆われて墓石が見えなくなっていたり、新たな墓を建てるため過去に区画分けされたりした場所があることを確認した。
今後も、広大な墓地を調べる方法や、所有者や相続関係者を洗い出す方策を検討しながら、秋ごろまで調査を続ける。その上で、荒れた墓地の再生につなげる仕組みを検討する。新宮会長(71)は「墓地利用の流動性を高め、住民がついのすみかとして活用できる場所にしたい」と話した。