3月まで島根県内の公立小中学校で教員として勤めてきた男性が一念発起し、発達障害のある生徒が就労訓練を行う放課後等デイサービスの事業所を4月上旬に出雲市内に立ち上げる。30年以上の教員経験を生かして、子どもたちの居場所をつくろうと奮闘する。
事業所を立ち上げるのは大田市大田町在住で元教員の丸亀貴彦さん(53)。大学卒業後、益田市内の中学校で教員生活をスタートし、2000年ごろから専門の支援や指導のあり方を学んだ。赴任校で障害のある児童の学力向上や、医療関係者と協力して普通学級に復帰させる活動に力を注いだ。
半面、自身が考案した学習計画が学校で受け入れられないこともあり、異動や配置換えが避けられない職場環境に対するもどかしさも募った。発達障害に詳しい医師や、支援事業を展開する企業関係者らと意見交換を重ねる中で「教員としては限界があっても、自分としてはまだまだできることがある」との思いが強まり、3月末での退職と独立を決意した。
出雲市塩冶町内の空き物件を改修整備した事業所では、放課後の通所可能な時間帯に応じて最大週5日、発達障害のある中学生と高校生を受け入れる。県外のコンサルタント会社が開発した専用の支援プログラムを活用し、能力検査などで生徒に適した職種を割り出し、ベッドメイキングや商品陳列、調理といった技術をスタッフがマンツーマンで指導する。自習用のスペースや個別相談を受ける部屋も設ける。
事業所名は「寄り添う」を意味する「スタンドバイYOU」。益田市内で施工会社を営む斎藤真さん(42)ら教え子にも支えられて整備を進め、4月6日の本格オープンを見据える。丸亀さんは「一人でも多くの子どもたちに寄り添っていきたい。必ず幸せな人生が送れるようにする」と決意をにじませた。問い合わせは、電話0853(25)8970。
(佐々木一全)