島根県出雲市斐川町の坪田愛華さんが1991年に亡くなる直前に描いた漫画が原作のミュージカル「あいと地球と競売人」が、17年ぶりに坪田さんの地元で公演される。実行委員会が出雲の子どもたちにも出演や鑑賞をしてほしいと、11月に松江市との2会場開催を決めた。母の揚子さん(79)は「地元で公演してほしい思いがあった。国籍や障害に関係なく楽しく参加してほしい」と話す。 (平井優香)
地球の環境保護を訴えるあいと地球と競売人は94年の初演以来、出演者のほとんどが島根県民の「県民参加型ミュージカル」として定着。出雲市では過去に市民会館での初演と2005年の斐川公演の2回が開催された。
有志でつくる実行委員会の運営となった18年から松江市内で毎年公演してきた中、揚子さんや、父の故正さんと親交のあった人たちが「地元でまた公演したい」と声を上げ、実現した。11月20日に斐川文化会館(出雲市斐川町荘原)で2公演、松江市で同3、5、6日に計6公演を行う。
今年は、ブラジルのリオデジャネイロで1992年に開かれた世界環境会議で当時の澄田信義島根県知事が愛華さんの漫画「地球の秘密」を紹介して30年の節目となる。現在、市内にはブラジル人が約3600人暮らしており、出雲で学ぶブラジル人の子どもにも参加してもらおうと、初めてポルトガル語の募集要項を作った。
キャストのオーディションは4月24日に松江市内で開催する。16、17日にはミュージカルの楽しさを体験してもらうワークショップを出雲市内で開く。
実行委員会の野津博康プロデューサー(66)は「『あい地球』を知らない子にも参加してもらい、表現する楽しさや地球環境の大切さを体感してほしい」と呼び掛けた。問い合わせは野津さん、電話090(9502)4195。