安来市で新規就農する移住者向けの総合支援事業「就農・定住パッケージ」が、人口減少の進む地域に新たな担い手を次々と呼び込む。市が島根県やJAと連携し、作物生産の技術指導から住まいや農地の確保、地域に溶け込める体制整備まで、至れり尽くせりのサポートを展開。2015年度の開始以来、25人が独り立ちして定着し、さらに5人が研修に励む。厳しい現実を伝え、やる気を確かめる手法も相まって、脱落者は1人も出ていない。

 安来市下坂田町でイチゴを栽培する遠藤暢彦さん(44)は19年5月に広島市からIターン。ベテラン農家に付いて腕を磨き21年9月に独立した。イチゴのおいしさとともに、安来を選ぶ決め手になったのは、就農・定住パッケージだ。

 就農を志した時に「一番心配したのは受け入れてくれる指導者や農地、地域があるかということだった」と振り返る。他地域では「住まいは自分で探して」などと言われることもある中、安来の手厚い支援は際立った。現在は市内の市営住宅からイチゴ園に通うが、園の近くに市が整備中のオーダーメード住宅に移る予定。自治会行事に参加し、既に地域に溶け込む。

 市農林振興課によると、パッケージは、県知事認定の指導農業士を「師匠」として付けマンツーマンの技術指導▽オーダーメードの住まいを整...