漂着物を調べる召古裕士さん=松江市島根町野波、小波海岸
漂着物を調べる召古裕士さん=松江市島根町野波、小波海岸
砂浜に打ち上げられたたくさんの貝殻=松江市島根町野波
砂浜に打ち上げられたたくさんの貝殻=松江市島根町野波
漂着物を調べる召古裕士さん=松江市島根町野波、小波海岸
砂浜に打ち上げられたたくさんの貝殻=松江市島根町野波

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 島根半島の小波海岸(松江市島根町野波、全長約500メートル)に、少なくとも240種類の貝殻が打ち上げられていることが、地元住民らの調査で明らかになった。同規模の海岸で確認されるのは50種類程度が一般的という。同海岸は日本ジオパーク認定の「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」の一部で、住民らは「島根半島の豊かな海を証明する結果だ」と喜んでいる。

 調査したのは同海岸近くに住む、認定ジオガイドの召古裕士さん(67)。子どもたちの環境教育に使うために貝殻を拾ってきたが、浜を覆う砂は砕けた貝殻を含んだ「貝砂」で、打ち上げられる種類の多さが気になっていた。
 自然環境調査に詳しいNPO法人「アンダンテ21」(益田市水分町)の佐々木隆志理事長に依頼し、実体顕微鏡を使って貝砂などを観察。図鑑に照らして種類を特定したところ、巻き貝類や二枚貝類など242種類が確認できた。アワビやサザエのほか、約2ミリで蛇腹の筒状の形が特徴の「ミジンギリギリツツガイ」やピンク色の二枚貝「ベニガイ」の貝殻などがあった。数ミリ程度にしか成長しない「微少貝」も60種類あった。

 西宮市貝類館(兵庫県)によると、同じ規模の海岸で見つかる貝殻は50~60種類とされ、学術的な証明にはならないが「小波海岸はかなり多い印象」という。
 貝殻の漂着は近くに生息することを意味し、佐々木理事長は「多くの海岸で失われつつある生物の多様性が残っている貴重な海岸だ」と強調。召古さんは「豊かな海岸があることの大切さと誇りを伝えながら、みんなで守っていきたい」と話した。
      (片山皓平)