高齢者人口がピークを迎える2040年ごろを見据え、社会保障制度の見直しを議論する政府の全世代型社会保障構築会議が、中間整理をとりまとめた。子育て・若者世代への支援を「未来への投資」として喫緊の課題と位置付け、社会経済の変化に即応した制度を構築していくとした。6月に決定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる考えという。

 特に力点を置いたのは子育て支援策の充実だ。仕事と子育ての両立を図るため、男性の育児休業取得の促進や、短時間労働者が保育を利用しづらい状況の改善などを課題として挙げた。

 次いで掲げたのは「勤労者皆保険」の実現。パートなど短時間労働者の厚生年金と健康保険への加入拡大を着実に実施していくと強調し、フリーランスで働く人らの加入の在り方を総合的に検討するとした。

 このほか、認知症の人の増加を念頭に家庭での介護負担の軽減、独り暮らしで生活に困窮する高齢者への住まいの支援、医療・介護の提供体制の改革―などを明記した。

 中間整理が示す問題意識と方向性に異論はない。子育て支援を最優先とする姿勢は評価したい。だが、給付と負担のバランスの見直しに向けた具体策は乏しく、新味がある内容とは言いがたい。既に指摘されてきた検討課題を網羅的に並べただけという印象もある。

 社会保障給付費は21年度予算ベースで129兆6千億円。00年度実績の1・7倍近くに膨張している。今年からは団塊の世代が75歳以上となって後期高齢者の仲間入りを始め、医療・介護の費用は一段と増加していくことが見込まれる。

 一方、足元では少子化がさらに進行。21年の出生数は84万人(速報値)と過去最少を更新した。高齢者数は42年に3935万人となってピークを迎える。少子化問題を克服しなければ、超高齢社会を支える担い手が足りなくなる恐れすらある。

 今回の中間整理からは、そうした危機感があまり伝わってこない。全世代型会議のこれまでの議論では、例えば育児休業給付を雇用保険から切り離して子育て支援策として再編成する改革の提案もあったが、中間整理には記されていない。

 大幅な改革には必要財源の確保が欠かせないが、今夏の参院選を前に、国民の負担増につながるような問題提起を避けたとしか思えない。

 今後の全世代型会議の運営について注文を付けたい。中間整理で今回示した検討課題に関し、より具体的な制度改革メニューを詳細な実施スケジュールと併せて明示してほしい。改革による効果を国民が実感できるようなデータの推計に取り組むのも一案だろう。

 なにより大事なのは、社会保障と財政を一体的に議論することだ。改革実現の決め手は財源の確保であり、財源論を欠いた改革案は絵に描いた餅に過ぎない。さらなる消費税増税も選択肢から排除せず、タブーなく議論してもらいたい。先送りすれば将来世代にツケを回すことになりかねない。それでは「全世代型」の看板が泣く。

 全世代型社会保障の構築は、給付が高齢者に偏って負担が現役世代中心となっている構造を見直すものだが、基本となるのは能力に応じて皆で支え合うことだ。世代間の対立に陥らないよう、私たち国民も留意したい。