昨年夏の台風後、大きく後ずさりした亀の石像=松江市宍道町昭和
昨年夏の台風後、大きく後ずさりした亀の石像=松江市宍道町昭和

 石の亀が動いたー。松江市宍道町の宍道湖沿いにある釣りをする亀の石像が「人知れず動いた」と地元住民の間で話題になっている。石像は釣りざおが届かないほど後退し、悲しげに湖を見つめている。昨夏の豪雨で移動したとみる声が多く、地元で水の力の恐ろしさを伝える象徴的存在になっている。
      (古瀬弘治)

 松江市によると、亀の石像は2000年に設置された。来待石で作られ、台座を合わせると横2メートル、高さ1・8メートル。03年にはパイプたばこをくわえながら釣りをする古風な姿が評価され、国土交通省が選ぶ「宍道湖水辺八景」の一つに認定され、写真スポットになっている。

 重量は不明だが、大人3人で押してもびくともしない石像が昨年、それまであった場所から約2メートル後方に移動した。市宍道支所地域振興課の小島一文課長は、あるはずの場所にないだけに「夜釣りでぶつかる人が出なければいいが」と心配する。

 そもそもなぜ動いたのか。小島課長や住民によると、石像が地元で話題に上るようになったのは21年8月ごろ。豪雨をもたらした台風が山陰を襲った後で、この時期は石像近くの漁師小屋が宍道湖の増水で多数破損するなど被害が出ていた。

 これらの状況を踏まえ、漁師の川島広志さん(63)は「亀が動いたのは台風の時だ」と強調。水の力に驚き、出水期を前に防災意識を新たにした。