第一章 発端の夏(三十九)

 砂浜に寝転がり、矢上は午前の陽光を堪能する。早番の時は工場の窓から、遅番の残業の時は寮へ戻るバスの窓から眺める光だ。だが、ここには一切のフレームがなく...