宍道湖や松江城の堀川で水草の異常繁茂を防ごうと、総合建設業の松江土建(松江市学園南2丁目)が水中に沈める防藻ネットを開発した。工事現場で使う資材を活用した製品で、松江市と島根県が取り組む水草対策の実証事業にも採用された。地域の課題解決に向け、改良をさらに加えて実用化を目指す。
繁茂した水草や藻は腐って悪臭を放ち、周辺の生活環境や景観に悪影響を及ぼす。市は藻刈り船などで除去しているが、抜本的な対策にはつながっていない。
同社は昨年4月、研究開発に着手。工事現場で落下防止などに使うメッシュネットを水中に敷設する方法を考案し、宍道湖漁協の協力を得て、同市西浜佐陀町の湖岸付近で実験に取り組んだ。
2メートル四方のネットを使用し、沈める深さや網目の大きさを変えて比較した結果、水底から10センチ浮かせて設置するとネットが砂泥に埋まらず、繁茂を抑える効果が高いことが分かった。網目は10ミリで通水性が確保でき、水中生物に影響する溶存酸素量の低下が見られなかったという。
結果を踏まえ、市と県は共同で取り組む水草対策の実証事業に同社の防藻ネットを採用し、3月下旬に堀川の2カ所に設置した。敷設するネットの形状を検証し、波型と台形型の2種でより効果的な繁茂の抑制方法を調べる。
開発を担当した同社環境部の鍛冶正紀統括部長は、設置方法など実用化に向けて課題はまだあるとしつつ、「既存のネットを応用し、工夫することで技術になる。島根発のブランドとして開発を進めていきたい」としている。(久保田康之)