第六章 バカンスの夢路(25)

 志(し)乃(の)さんは両手で顔を覆った。

「おおおおおお、お……」

 肩を激しく震わせている。小さな背中が痛々しいが、どうすることもできない。

「あなた、どうして一人で……。...