鳥取県東部の関係者が開いた試食会で並んだジビエ料理。ジビエ振興自治体連絡協議会で取り組みの発展が期待される=2012年、鳥取市内
鳥取県東部の関係者が開いた試食会で並んだジビエ料理。ジビエ振興自治体連絡協議会で取り組みの発展が期待される=2012年、鳥取市内

 シカやイノシシといった野生鳥獣肉「ジビエ」の活用推進に向け、鳥取県や同県若桜町、八頭町など全国10県と12市町村がネットワーク組織「ジビエ振興自治体連絡協議会」を設け、活動を始めた。食肉処理技術の向上や商品開発、販路拡大に連携して取り組む。 (藤井俊行)

 農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査によると、鳥取県は2019年度、ジビエ利用量が全国4位の52トンと活用が盛ん。一方、捕獲から加工、流通まで産業として確立するには至っておらず、飲食店などに安定供給できていないという。

 このため同県の平井伸治知事と、同じくジビエ活用に積極的な山梨県の長崎幸太郎知事が連携を思い立ち徳島、富山、石川、長野、和歌山、岡山、山口、鹿児島の各県などが加わり昨年秋に同協議会を設立した。現時点で、島根県内の自治体は参加していない。

 20日に初顔合わせの設立総会をオンラインで開催。会長の平井知事は、新型コロナウイルス禍でジビエの消費が落ち込んだことに触れ「総力を結集していきたい」と巻き返しを説いた。

 意見交換で、若桜町は年間3千頭超のシカやイノシシを処理し、学校給食に提供していることを紹介。山梨県は高タンパク、低カロリーというジビエの特徴をアピールして地元の陸上自衛隊駐屯地に売り込みを図っていることを報告した。

 高級食材で販路が限定される▽猟師の高齢化|といった悩みの声も挙がった。

 5月中に参加自治体にアンケートを行い、課題を洗い出す。適宜、国へ支援策の要望活動も行う。