メジャーリーグに学ぶ人材育成と経営戦略
 成功への鍵は人間力

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西懇話会の定例会が8、9両日、浜田、益田両市であった。国際ビジネス&スポーツアナリストのタック川本氏(79)が「メジャーリーグに学ぶ人材育成と経営戦略」と題して講演。米大リーグの3球団で約20年間、フロントスタッフを務め選手を見た経験から、一流になるための条件や人材育成方法について語った。要旨は次の通り。

 米国では経営戦略や人材育成はメジャーリーグから学べと言われる。新人選手は毎年計1800~2千人で、全30球団は7~9軍まで設けて育てる。うちメジャーに昇格できるのは各球団3、4人ぐらいで、平均で5年4カ月かかるとされる。厳しい競争原理が働く世界だからこそ質の高いプレーが見られ、観客に驚きや喜びを与えるショービジネスが可能となる。

 メジャーではよく、フロントスタッフらが新人選手に「野球を辞めたら次はどんな仕事をするのか」と質問し、セカンドキャリアを考えてもらう機会をつくる。就寝する1時間前には外国語や資格取得に向けた勉強をするよう指導する。野球で生活する難しさを早く自覚してもらうためだ。

 指導者は手取り足取り選手に技術を教えることはなく、一流選手のまねを要求することもない。教わってばかりでは自分の血肉にならないからだ。自ら課題を考えて自己流を身に付けさせることこそ生き残る道だと彼らは伝える。

 長く選手を見てきた経験から、メジャーで上に行くには技術や才能だけではなく人間力も必要だ。一流になるためには、ひるまない姿勢▽高い理想や夢▽他人への思いやり▽好奇心旺盛▽収入の一部を人のために使う-という五つの条件が成功への鍵と考える。

 米国には「勇気をなくせば全てを失ってしまう」という言葉がある。何事も諦めずに取り組む限り、コールドゲームはありえない。

 (宮廻裕樹)