ネズミの石像が増え、神社のにぎわいを喜ぶ錦田剛志宮司=出雲市斐川町併川、万九千神社
ネズミの石像が増え、神社のにぎわいを喜ぶ錦田剛志宮司=出雲市斐川町併川、万九千神社

 神送りの神事で知られる出雲市斐川町併川の万九千神社でネズミの石像が続々と奉納され、愛くるしい表情で参拝者を出迎えている。白衣を着たネズミや受験勉強に励むネズミといった22匹のネズミが境内に鎮座し、話題になっている。

 主祭神の一柱の大国主大神は古事記(712年)によると、須佐之男命に野原で火難の試練を与えられた際、ネズミに命を救われた。ネズミは多産と豊穣を象徴する動物として神様の使い役を担う。

 2021年4月、最初の石像が出雲市内の男性によって奉納された。神社のさらなるにぎわいを願い、古事記の一場面をモチーフにした。

 その後、市内を中心に建築業や観光業、医療関係者などが次々と奉納した。直会(なおらい)を楽しむネズミや米俵を持ったネズミ、しょうゆを醸造するネズミなどそれぞれの姿が明るい雰囲気を醸しだし、神社の新しい魅力になっている。

 石像の制作は出雲大社に奉納されたウサギの石像を手掛ける石材店・金山工業(出雲市市上島町、金山利行社長)。白や青、桜の3種類の御影石を使ってネズミ(高さ15センチ、幅12センチ)と文言が入った台座(高さ30センチ、幅25センチ)を仕上げる。

 錦田剛志宮司(53)は「ネズミの石像を見ながら朗らかな気持ちでお参りしてもらえるのでうれしい。奉納を受け付けチューです」と呼びかけた。奉納料は10万9千円。
      (藤原康平)