ユーモアを交えてヨットの部位を教えるハワード・ライスさん(中央)=島根県海士町福井、福井小学校
ユーモアを交えてヨットの部位を教えるハワード・ライスさん(中央)=島根県海士町福井、福井小学校

 島根県海士町に移住した米国出身のセーラー、ハワード・ライスさん(68)が18日、町内の小学生を対象にヨット教室を開いた。小学校に眠っていたヨットを修復し、子どもたちに海を渡る魅力を教えた。

 ハワードさんは自作の木製ヨットで南米最南端のマゼラン海峡を横断するといった冒険を成し遂げてきた。日本人の妻が住む海士町に昨年9月末に移住し、ヨットの修理を担う。

 海辺が近い福井小学校(海士町福井)で倉庫に児童向けの小型ヨットが複数眠っており、有志の町民10人でつくる「海の士(ひと)を育む会」とハワードさんが協力して修理し、ヨット教室の開催につなげた。町内の小学生13人が集まり、ハワードさんが救命胴衣の着用方法や非常時の笛の吹き方を教え、大人の島留学生たちが通訳や指導をして支援した。

 ハワードさんは「常に頭の中に円を描き、風の方向を肌で感じるようにしよう」と風の読み方を指南し、ヨットの部位を覚えようとユーモアを交えて呼びかけた。その後、子どもたちはシーカヤックで近くの岸壁から海に出て、パドリングを楽しんだ。25日にはヨットの航海実習も予定している。

 福井小5年の楠見真波(まなみ)君(10)は「船に乗ったことはあるけど、ヨットは初めて。海に出るのが楽しみ」と期待した。

 ハワードさんは「海士町はヨットマンにとって天国のような場所。子どもたちは賢く、教えたことを吸収してくれた」と喜んだ。

 (鎌田剛)