支持を訴え、聴衆に頭を下げる候補者=鳥取市東品治町、JR鳥取駅前
支持を訴え、聴衆に頭を下げる候補者=鳥取市東品治町、JR鳥取駅前

 参院選(7月10日投開票)の鳥取・島根合区選挙区(改選数1)は、2016年の合区導入後で最多となる5人が出馬した。自民党現職と立憲民主、共産両党の新人2人による事実上の三つどもえの戦いとなる中、各陣営ともに足元に課題を抱える。 (取材班)

 自民の青木一彦候補は公示日の22日、約800人が集まった第一声を含め、松江、出雲両市の街頭8カ所で行った演説の聴衆は計約1900人。自民島根県連所属の衆参国会議員や県議、党地域支部幹部が応援のマイクを握り、組織力の厚さを印象付けた。

 保守地盤で戦いを優位に進める一方、中央政界を含めて野党の存在感が薄いことなどから、組織内には冷めた雰囲気が漂う。

 島根側では16年参院選に実施した支持者カードの配布、回収を、今回は見送った。県連幹部は「回収しにくくなったこともあるが、そこまでやる必要がないとの声があるのも事実だ」と打ち明ける。

 候補への不満もくすぶる。合区選挙区の西端にある鹿足郡の地域支部幹部から「日常活動の積み重ねが大切だが、顔を見る機会が少ない」と苦言が漏れ、雰囲気は容易に変えられそうにない。

 対する立民の村上泰二朗候補は浮上のきっかけが見えない。出馬表明した4月以降、山陰両県の支持団体へのあいさつ回りに注力。公示日は3月下旬まで勤めた米子市役所近くで街頭に立ったが、演説に足を止める人は見られなかった。

 無名の新人を支えるべき党自体も勢いがなく、18、19両日の共同通信社の全国世論調査で立民の支持率は8・7%。維新の9・6%を下回り、42・5%の自民に水をあけられた。

 「いい政策を言ったって政権をとらないと実行できない」。8日夕、米子市内の党街頭集会で倉吉市内の男性党員が、村上候補の応援に駆け付けた泉健太代表に奮起を促したが、正面からの答えはなかった。

 候補の知名度不足と党勢低迷という課題を抱え、連合鳥取西部地域協議会の遠藤史章事務局長は「このままだと大敗するかもしれない」と危機感を募らせる。

 共産の福住英行候補は、公示日に島根入りして初めてマイクを握ったのは中国電力島根支社(松江市)近くだった。反原発団体のメンバーら約40人を前に「原発を推進する自公政権に厳しい審判を下そう」と声を張り上げた。

 主張の柱の一つは中電島根原発2号機(同)の再稼働反対。原発反対を訴える唯一の候補としてアピールするが、有権者への浸透は見通せない。

 再稼働の可否判断を巡っては既に関係する島根、鳥取両県と6市の首長が同意を表明。住民投票の実施を松江市に求めた「どうする島根原発?みんなで決める松江の会」の秋重幸邦共同代表は「重要なテーマだが、首長判断が出そろい関心が高まりづらい」と懸念する。候補の乱立もあり、合区が導入されて初の党公認候補の存在感は高まらず、集票の道筋は描けていない。

 NHK党新人の黒瀬信明候補はユーチューブを使って主張を発信。政治団体・参政党新人の前田敬孝候補は公共交通機関で移動し、訴えている。

 

▽鳥取・島根合区選挙区立候補者((1)-5)

<届け出順>

黒瀬 信明37 党職員      N新

福住 英行46 党鳥取県委常任委 共新

村上泰二朗34 元鳥取県職員   立新

前田 敬孝60 元琴浦町議    諸新

青木 一彦61 元国土交通副大臣 自現(2)

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 表の見方 名前(敬称略)に続き、年齢、肩書、所属党派、現職、新人の別。党派の自は自民党、立は立憲民主党、共は共産党、NはNHK党、諸は諸派。カッコ内数字は当選回数。