参院選(7月10日投開票)の公示後、初の週末を迎えた25日、鳥取・島根合区選挙区(改選数1)の立候補者は東西に長い選挙区内を駆け回った。自民党現職と立憲民主、共産両党の新人2人による事実上の三つどもえの戦いとなる中、各候補者は人口減少やエネルギー、物価高などの問題を巡る主張に声を枯らした。(取材班)
共産新人の福住英行候補は大田市の住宅街から演説をスタート。出雲、松江両市に移って3市の計7カ所でマイクを握り、政権批判に声を張り上げた。「物価高から暮らしを守る一番の特効薬は5%への消費税減税」と力説。社会保障費の財源確保を理由に減税を拒否する岸田文雄首相の姿勢を疑問視し「大企業や大金持ちに、もうけにふさわしい負担を求めれば減税は可能だ」と述べた。
夕方には、中国電力島根原発が立地する松江市鹿島町に公示後初めて入り、支持者を前に「災害の多い日本で原発の再稼働はとんでもない。原発ゼロを訴える唯一の候補だ」と他の候補との違いを強調した。
立民新人の村上泰二朗候補は鳥取県西部の米子、南部、日南、日野、江府、伯耆の1市5町で選挙カーを走らせた。
日南町では父の実家近くでマイクを持ち、集まった高齢者らに物価高に対応するため「消費税を5%に引き下げ、年金を上げる」と強調。農業施策は昨年の米価下落に触れ「戸別所得補償制度を復活させて、中山間地域を守る」と意気込み、農作業中の住民に駆け寄るなどして支持を求めた。その後、同町内のスーパー前でも演説。福祉や介護、保育分野の給与水準が低いとし「賃金を上げて仕事を地元につくり、UIターンを促進させる」と約束した。
週末に幅広く顔を見せようと、出雲市湖陵町から選挙区西端の島根県鹿足郡まで遊説したのは、自民現職の青木一彦候補。計13カ所の街頭に立った。
「地方力」をキャッチフレーズに掲げ、県西部では特に地方創生の主張に熱がこもった。約120人が集まった大田商工会議所前では「地方創生が道半ばなのは、度が過ぎた東京一極集中が続いているからだ」と指摘。「山陰の発展なくして国の発展はない」と声を強め、故竹下登元首相が提唱した「ふるさと創生」の実現に注力する考えを示した。演説前に聴衆と対話し、山陰新幹線など政策課題についての要望に耳を傾ける場面もあった。
NHK党新人の黒瀬信明候補は選挙区に入らず、都内の党コールセンターで有権者に投票を呼びかけた。
政治団体・参政党新人の前田敬孝候補は鳥取、倉吉、米子の3市を回り、街頭で訴えた。
鳥取・島根合区選挙区立候補者((1)-5)
<届け出順>
黒瀬 信明37 党職員 N新
福住 英行46 党鳥取県委常任委 共新
村上泰二朗34 元鳥取県職員 立新
前田 敬孝60 元琴浦町議 諸新
青木 一彦61 元国土交通副大臣 自現(2)
…………………………………………………
表の見方 名前(敬称略)に続き、年齢、肩書、所属党派、現職、新人の別。党派の自は自民党、立は立憲民主党、共は共産党、NはNHK党、諸は諸派。カッコ内数字は当選回数。