第26回参院選は10日に投開票を迎える。鳥取・島根合区選挙区(改選数1)は届け出順に、NHK党新人の黒瀬信明候補(37)、共産党新人の福住英行候補(46)、立憲民主党新人の村上泰二朗候補(34)、政治団体・参政党新人の前田敬孝候補(60)、自民党現職の青木一彦候補(61)=2期、公明党推薦=が立候補。青木候補、村上候補、福住候補による事実上の三つどもえの構図だ。 (取材班)

 青木候補は終盤、地元の島根側での活動に注力。党本部の大物弁士や両県連所属の国会議員、県議らも街頭に立ち、支持固めを進める。

 訴えの柱は、東京一極集中の是正と、故竹下登元首相が提唱した「ふるさと創生」の実現。国土交通副大臣としての実績をアピールし、防災、減災、国土強靱(きょうじん)化(か)の必要性を強調する。最終日は出雲、松江、安来の3市を巡った後、午後6時に松江市殿町の島根県庁前で最後の演説に臨む。

 村上候補は、合区選挙区最年少候補という若さをアピールし、子育て環境充実や物価対策としての消費税率5%への引き下げを訴える。立民の支持母体の連合両県組織が推薦し、国民民主党島根県連が支える。

 知名度不足を補おうと両県内を細かく回り、選挙戦終盤は浸透の薄い島根県西部で重点的に選挙カーを走らせた。最終日は大票田の松江、米子両市内を中心に巡り、午後6時20分に米子市明治町のJR米子駅前で仕上げのマイクを握る。

 福住候補は、7日までに隠岐を除く山陰両県の市町村を一巡。陣営は交流サイト(SNS)で動画や演説日程を公開し、無党派層の取り込みを狙うほか、電話作戦を中心に有権者に政策を伝えている。

 中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働反対を旗印に、憲法9条を生かした平和外交や防衛費増加反対、最低賃金の時給1500円を主張。最終日は境港、米子両市を回り、午後7時半に米子市車尾の自宅近くで最後の訴えを行う。

 黒瀬候補は最終日、選挙区には入らず、都内の党コールセンターで有権者に投票を呼びかける。前田候補は米子、松江、倉吉、鳥取の各市を回り、午後6時に鳥取市東品治町のJR鳥取駅前で最終演説する。

 比例代表では、合区により候補者が立てられない県への救済策として2019年に導入され、優先的に当選できる「特定枠」に、元鳥取県議で自民新人の藤井一博氏(44)が出馬している。