江津市後地町の古民家を改装したカフェ「風のえんがわ」を運営し、地元の新鮮な食材を使って料理の腕を振るう。木々や畑が広がる風光明媚な景観の中で、人をつなぐ場所をつくりたいと、かつては養蚕小屋だった建物を生まれ変わらせた店は、2012年11月の開店から10年を迎える。「長居大歓迎」ともてなしの心を大切にし続け、客足が絶えない。今後は福祉事業への展開に意気込む。

 11年の江津市のビジネスプランコンテストで、「農と食と人をつなぐ」をコンセプトに発表し、大賞を受賞した。

 「もともとフレンチの料理人だったが、人が気楽に集まり、ホッと一息ついたり、自分の時間が持てたりする場所が地域に必要だと思っていて、カフェをやりたくなった。人が生きていく上で必要な農業という営みを、食を通して伝えながら人をつなぎたい、縁側のように訪れた人が会話を楽しめるような場をつくり、田舎暮らしの豊かさを発見してもらいたいという思いで発表した」

 人との関係や輪の広がりを実感している。

 「地元の食材を使った食にこだわり、添加物を含まない物を意識して提供してきた。Uターンし、都会で当たり前のようにある有機野菜を扱うお店などが田舎では差別化されておらず、まだあまりないことに気づいた。農家さんと自然栽培の講習会を開いているうちに、無農薬などにこだわっている人たちと知り合い、そこから食材を買えるようになった。実際に動いてみると、出会いは広がる」

 豊かな自然環境に恵まれた空間を活用し、新しい展開を考えている。

 「ビジネスプランコンテストのために描いた絵を引っ張り出したら、...