「何かごみが多いね。大丈夫? 掃除してる?」。京都府亀岡市の観光名物、保津川下りの船頭、豊田知八(56)の耳には、乗客からかけられたこの言葉が今でも耳に残る。

 「気が付くと川の両側の木々に、破れたプラスチック製レジ袋が、七夕の短冊のようにたくさんぶら下がっていた」。今から20年以上前のことだ。

 保津川は、亀岡から京都・嵐山までの約16キロの渓流を言う。ここを熟練の船頭が木造船を操っていくのが保津川下りだ。そしてレジ袋の短冊はちょうど乗客の目線の高さにあった。

 「何でもいいから行動を」と2004年、同僚の若手と2人だけで川のごみ回収を始めた。これが亀岡の人々とプラスチックごみとの闘いの始まりだった。

 

 ▽広がる理解

 当初、周囲の反応は冷たかった。会社は、勝手にやるのはいいが船は出せない、...