澤井珈琲の「ご当地ドリップバッグコーヒー」を購入できる自動販売機。右は同社の澤井幹雄社長=松江市大垣町、松江フォーゲルパーク
澤井珈琲の「ご当地ドリップバッグコーヒー」を購入できる自動販売機。右は同社の澤井幹雄社長=松江市大垣町、松江フォーゲルパーク

 コーヒー豆製造、販売の澤井珈琲(境港市竹内団地、澤井幹雄社長)が、山陰両県の3か所にドリップバッグコーヒーの自動販売機を設置した。新たな「ご当地土産」としてドリップバッグコーヒーを提供する。自動販売機は今後、山陰地方に限らず全国規模で設置することを視野に入れている。 (Sデジ編集部・宍道香穂)

 同社は店舗での販売のほかEC(電子商取引)サイトを通した通信販売に力を入れ、国内外に商品を提供しているが、自動販売機でのコーヒー販売は初めて。新型コロナの流行に伴い、非対面、非接触で販売できる点にも着目したという。松江フォーゲルパーク(松江市大垣町)、米子空港(境港市佐斐神町)、鳥取空港(鳥取市湖山町西4丁目)の3か所に自動販売機を設置した。

ドリップバッグコーヒーの自動販売機を設置する関係者

 ドリップバッグは5袋セットで1箱650円。自動販売機は高さ1・8メートル、幅約7・5メートル、奥行き約7・6メートルで、購入したいコーヒーの番号を押すと取り出し口に商品が出てくる。商品は10個から選べる。バーコード支払いなどスマートフォン決済にも対応する。カップに注がれて出てくるコーヒーの自販機はよく見かけるが、ドリップバッグのコーヒーを販売しているのは珍しい。ドリップバッグのお土産は、手頃な価格で持ち運びも軽く、旅の記念になる。

 「新たなご当地土産」をテーマにそれぞれの地域性を重視し、フォーゲルパークの自販機ではマスコット的存在のハシビロコウや園内に咲き誇る花々をあしらった計3種類を販売する。鳥取県内の2空港では境港市出身の漫画家・水木しげるさんの代表作「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターや鳥取県大栄町出身の漫画家・青山剛昌さんの代表作「名探偵コナン」のキャラクターをあしらったドリップバッグを並べている。

漫画「名探偵コナン」(上)や「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターをデザインしたドリップバッグコーヒー。フォーゲルパークバージョンの商品は8月下旬から9月中旬ごろに並ぶ予定。

 鬼太郎や名探偵コナンのコーヒーは既存の商品を自販機でも販売し始めた形で、3カ所どこの自販機でも購入できる。フォーゲルパークデザインのドリップバッグは自販機設置に伴って新たに商品開発し、松江フォーゲルパークの自販機でのみ販売するという。現在パッケージを製造中で、8月末~9月中旬頃に販売を開始する予定。マスコット的存在のハシビロコウや園内に咲き誇る花々をあしらった計3種類が並ぶ。

 フォーゲルパークの自販機はほかにも、島根県のマスコットキャラクター「しまねっこ」をあしらった「しまねっこどりっぷばっぐこーひー」(6袋入り、650円)や、看板商品の一つ「珈琲物語」(5袋入り、700円)が並んでいる。

島根県のマスコットキャラクター「しまねっこ」のデザインのコーヒー。マイルドな「やわらか味」と、ガツンとした味わいの「こい味」の2種類がある。

 しまねっこデザインのドリップバッグコーヒーを購入し、飲んでみることにした。マイルドな味わいの「やわらか味」とガツンとした「こい味」の2種類があり、「やわらか味」を購入した。表面はウインクをしたしまねっこがプリントされていてかわいらしい。袋の封を開けてマグカップにセットし、お湯を注ぐ。ドリップバッグコーヒーはドリッパーやペーパー、サーバーといった器具を準備する必要がなく、お湯とカップさえあれば飲めるのがうれしい。時間がなく慌ただしい朝に重宝しそう。コーヒーを飲んでみると、まろやかで飲みやすく、芳醇(ほうじゅん)な香りを感じた。ドリップバッグコーヒーは豆をひいてから時間が経過しているはずだが、香りが消えていないことに驚いた。

自販機の設置を祝う澤井珈琲の澤井幹雄社長(右)

 「ご当地コーヒー」はパッケージデザインだけでなく、味もそれぞれ異なる。フォーゲルパークのドリップバッグはスペシャリティーコーヒーの一つ「エーデルワイス」などを使い、リッチな味わいを楽しめるという。美しい花々を鑑賞できるフォーゲルパークの雰囲気が表現されている。
 「ゲゲゲの鬼太郎どりっぷばっぐこーひー」は、マイルドな味わいのコーヒーやガツンと濃い苦みが特徴の商品など3種をそろえ、味の違いを楽しめる。「名探偵コナン」デザインの商品は、ドリップバッグコーヒー3種類のほか、コーヒーを飲めない子どもたちにも楽しんでもらえるようにと、湯を注いでイチゴミルク、ココア、ミルクセーキを作れる「名探偵コナン3in1」(各10袋入り、800円)も用意している。

色とりどりの花が咲き誇る松江フォーゲルパークのエントランス

 島根県内初の設置場所としてフォーゲルパークを選んだ理由について澤井社長は「多くの人が訪れる場所で、私自身、花が好きだから」と答えた。「新型コロナウイルス禍の影響で暗い気分になりがちだが、花を見て明るい気分になってもらいたい」との思いがあるという。

 松江フォーゲルパークを管理する一畑パーク(松江市大垣町)の安田行成部長は「自動販売機はフォーゲルパークで栽培しているベゴニアをあしらったオリジナルデザイン。フォーゲルパークの新たなお土産として楽しんでもらいたい」と話した。